今回はある夏の日の読書回想録です

「君の膵臓をたべたい」
強烈なタイトルに怖気づきながらも、
映画化もされたんで、僕にも食えるだろうと
この夏、読んでみた。
やはりこの作品の書評は
僕なりに書き残しておきたい。
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最初に断わっておくが、この作品は決して
甘酸っぱい男女の恋愛小説ではない。
もしそうであったら、GAYである僕には
拒絶反応が起こってしまったはずだから…
じゃあ何ですか?と訊かれても答えようがないけど、
敢えて言うなら
自分の生き方を探し求めた、二人の出会いと再生の物語、
とでも言うべきだろうか。
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タイトルにも暗示されているように、
ここに登場する主人公の女の子は、
不治の病を患ってはいるが、
避けられない死と向き合いながらも、
天真爛漫にポジティブに生きようとしている。

一方、偶然に彼女の運命を知ってしまった「僕」は
自分の意志や感情を抑制することで
周囲と空気のように関わってきた男の子で、
一人の友達も作らないことで、自己存在の安定を得ている。
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自分的には、この「僕」に親近感をおぼえる。
…と言うか、まるでこの「僕」は僕と同族じゃないかと思えるくらい。
この「僕」には、最後の瞬間まで名前すら公開されない。
影が薄い存在の「僕」なのだが、彼女との対比によって、
むしろ、たゆまぬ存在感をもって、彼女との成長の日々を紡いでいく。

この正反対の二人が束の間の出会いをし、
お互いが、相手との違いを受け容れながらも、ともに歩み始める。
その延長線上は、彼女にとっては一足早い消滅であり、
「僕」にとっては、彼女のいなくなる未来なのだが、
この出会いを通して、次第に二人は生まれ変わっていく。
まるでお互いの魂の一部を摂取したかのように…
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ところが二人の物語はあまりに小説的に、唐突に幕が降ろされる。
この結末を受け容れられないのは、僕も「僕」と同じだ。
けれど「僕」が生涯一度も見せたことのないような
大号泣をしてくれたことで、僕の心もいくらか軽くなれた。
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本日7/28にロードショーが始まった。
僕はこの映画を食したいと思う。
映画なりの違った展開と結末はあるにせよ、
小説の中の彼女と「僕」は、変わらずに歩み続けていけるだろうし、
決してひとつの終着点にたどり着かなくてもいいと、
僕は二人に教えてもらったから…




ご無沙汰しておりました。
今回は一夏限りのよみがえりでしたが、
僕はまだこうして生きています…
またいつか僕をじっくりと味わっていただけるよう、
これからも鮮度を保ち続けたいと思います。
                2018年7月28日
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