なぜ今まで、この記事を書かなかったのか
不思議なくらいですが、
この世界を生きる男たちにとってはバイブル、
トーマスマンの「ベニスに死す」を紹介します。
ただあまりに古典的名作であるので
ストーリーはかいつまんでエッセンスのみで…
主人公である初老の作家、アッシェンバハは、
自分の求めてきた芸術や人生に疲れを感じ、
それを癒すためベニスで静養することになる。
そこである日、絶世の美少年と出会う。
それまで高潔な紳士を貫いてきた
アッシェンバハだったが、
やがて誇りや外聞をかなぐり捨て、
少年への思慕に傾倒していくのだった。
しかし、やがてベニスに
不治の伝染病が流行し始め
アッシェンバハにも病の影が忍び寄る…
この作品の映画化で少年役に抜擢されたのは、
スウェーデン出身のビョルン・アンドレセン
彼の代表作はこれ一本のみです。
もはや絵画の世界に出てきそうな美少年ですが
どこか憂愁の翳りがあるように感じるのは、
5歳で父に捨てられ、母は自殺し…という
あまりに薄幸な彼の生い立ちゆえでしょうか…
その彼が、数千人の候補者の中から
監督自身の眼に止まったのは、奇跡の美しさ。
ちなみにオーディション時には
少年が海水浴するシーンもあることを考慮し
服を脱いでの審査も行われたとか…
以下はChris Raynerという英国のモデルですが
彼に似ているのでイメージとして載せます。
ちなみにアンドレセンが生まれたのは
1955年1月26日の今日のことです。
人知れず余生を送る彼も、とうに還暦を迎え
あの時の老作家アッシェンバハの思いが
今なら痛いほどよくわかるだろうに…
美は、時として残酷です…
それでは未だ一度も観たことのない方々に
「ベニスに死す」予告編をお送りします。
BGМはもちろん当時のあの曲で。
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