オスカー・ワイルドの有名な童話で
「幸福の王子」って知ってますか?
そう、王子様とツバメが不幸な人たちのために
我が身を捧げ、やがて自らの命も尽きるという
なんとも残酷で悲しいお話です。
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ところが大人になってから読み返した時
ふともう一つの真実に気がついたのです。
この王子様、銅像だったんですよね。
ということは銅像のモデルになったはずの
生前の王子様がいらしたわけで、こちらは
外界と遮断された塀の中で、
何不自由なくお暮しになっていたのです。
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それが何かの原因でお亡くなりになり、
街の中に王子様の銅像が建てられたのでした。
すると王子は今まで一度も見なかった街の光景を
初めて目にすることができるようになりました。
そこには貧しさや病苦、飢餓、争いがあふれ、
その中で必死に生きる人々がいることを、
初めて知ったのです。
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王子は、自分が生前
いかに恵まれた環境を与えられていたかを知り
今自分の眼下にひざまずく貧しき人たちに、
何かできることはないかと
初めて君主たるべき慈悲の心を胸に宿すのです。
王子は述懐します。
かつて世の中の事を何も知らずに、
何の苦労もなく生きてきた自分は不幸だった、
そして今、誰かのために何かをなすことができる
自分はようやく「幸福の王子」になったのだと…
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もう一つ、この王子に献身的に尽くすツバメが、
なんともいじらしく愛すべき存在なのですが、
このツバメが仲間の渡りから取り残され、
ひとりぼっちになってしまったのは、
葦の群れにそそのかされて道を誤まるという、
お人好しで騙されやすい性格だったからのようです。
それで、最初は浮足立ったまま、
しぶしぶ王子のリクエストに応えているのですが、
やがて王子のまごころに触れ、彼をこよなく愛し、
終生王子のそばを離れないことを約束するのです。
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最後にツバメは命尽きる間際に王子に
「どうかあなたの手に口づけをさせてください。」
と控え目に申し出るのですが、王子が、
「掌でなくていいのだよ。いとしいツバメよ。
 私の唇に…」と言うとツバメは、
わずかのひと時を王子の唇に触れ、
やがて地に落ちて死んでしまうのです。
その瞬間でした。王子様の胸の奥にあった心臓が
ピシリと音を立て真っ二つに裂けてしまったのは…
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このあたりは、この時代、同性愛者として
生き抜いた作者、オスカーワイルド自身の
苦渋に満ちた人生観が反映されているようです。
そして物語の最後に、
民衆には理解されなかった王子の心臓と、
ツバメの亡骸は神様によって、
永遠に天空に召し上げられることになるのですが、
僕たちも、いかに世間に理解されなくても
真実の愛に生きることで、いつか本当の幸福を
手にすることができるのかも知れません。
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