ソラリスの島

美しき男たちの記憶を この島にとどめておこうと思います

メメントモリ(死を想え)

死ぬことは終わりじゃなくて、永遠の始まり

カレがいなくなってから、
もう8ヶ月がたとうとしています。
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けれども、その輝きは色褪せることなく
今日まで、私たちの胸の中で生き続けます。
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もしも
僕がいつか、
今度はもう帰ってくることなく
姿を消したとしても
きっと、僕の残した足跡は
誰かの心の片隅にそっと
置いてもらえるのかなと
ちょっぴり期待しています。
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昔は、自分がこの世界から消えてしまうことが
漠然と怖かったのですが
たとえ自意識は消滅したとしても
その後の僕は、僕を思い出してくれる
誰かの心の中に生き続けられる、
半ば永久的に…
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そう思えば、いつ終わりが来ても大丈夫。
死は決して終末ではなく
永遠の旅の始まり。
また、いつか、どこかで
僕たちは、いつでも会えるんだから、
どうぞ心配しないで、
ただあの時の記憶を忘れずに
思い返してくれたら幸いです。
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ありがとう、この世界の人たち。
うららかな卒業の日に…
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散るといふ 飛翔のかたち 花びらは
ふと 微笑んで 枝を離るゝ(俵万智)
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お手本、写してみました…(恥)

ここまで通算365話の物語を書いてきました。
日々出会っては別れゆく日めくりのごとく…

戻りたい原点はここから

卒業の日の感慨のひとしおを、あなたとともに…












一寸先は靄(もや)

僕には「ユウ」と呼ぶ同い年の従兄弟がいました。
「ユウ」は19歳の若さで、この世を去りました。
自殺ではなく、事故でした。
それも冬山の剣岳で…
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たった一瞬、ほんの一歩の足を踏み外しただけで、
ユウは、永遠に帰らぬ人となりました。
その時、前を登っていた山岳部の先輩が
ユウの「あれっ…?」という一声を聞いて
後ろをふり返ったら、もうそこには
ついて来ているはずのユウの姿は
跡形もなく、消えてしまっていたそうです。
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4日後、彼の亡骸は自宅に戻ってきました。
体はボロボロだったそうですが、
不思議と顔には目立った損傷が少なく
まるで眠っているかのようだったと聞きました。
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僕もお通夜でユウに会えました。
その時、大切な肉親との別れ以上に
僕には、一瞬よぎるユウとの
幻のように靄のかかった記憶があって
ユウはそれも一緒に
届かぬ場所へ持って行ってしまいました。

それは中学1年の夏休みの時でした。
家族よりも一足早く、田舎に遊びに来ていたユウと僕は
暑苦しい夜に布団をはだけて、二人で雑魚寝してました。
久しぶりに再会した年頃の男子2名には、
よもやま話も尽きることがなかったみたいで
それでも零時を回り、さすがに疲れて寝ついたかに見えた2人でしたが、
実は2人とも寝たふりをして起きていたのです。
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「R(僕の愛称)、起きてる?」
「………」(タヌキ寝入り中)
「R、寝た?」
「………」(ふふふ)
「なんだ、寝ちゃったのか…」
「………」(ふ、ユウ、だまされてるよ…)
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「R…」
「………(ん?)………(何?)」
「R、…Rちゃん…」
「……(えっ?)……(今何か唇に降りて来た?)」
「!!!(ユウの息づかいの生音)」
「!!!(オレの心臓のバク音)」
「R…好きだよ…」
「(待ってくれ~、唇の準備が、いや心の準備が~)」
そしてユウの少年の渇望をオレは
受けとめきれずに向きを変えるのです。
その時、ユウがかすかに漏らした一言が
「あれっ…?」だったのかな…と今思います。
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…それが男子との初体験だったと言えば
初体験になるところでした。
あの時、ユウの踏み出した一歩を
なぜ受けとめきれなかったのか…
当時は、男同士そんな関係が作れるんだという
予備知識もなく、後になってもう少しユウと
勉強してみたかったとは思っても、後の祭りです。
その後ユウとはお互いに、この夜のことを
一切打ち明けませんでしたし
永遠に靄のかかった、幻の記憶になりました。
それを一方的にあの世まで持ち逃げするなんて
ずるいよ、ユウ…
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まさか遺影に向かって、こう内心で叫んでたとは
お釈迦様以外、誰も気づかなかったことでしょう。

おそらく僕がゲイに目覚めたのはこの頃で
目覚めさせてくれた恩人には
感謝の言葉もかけないままでしたが
ふと今もユウは、靄の向こうから
オレのその後の遍歴を見守ってくれているような
気がして、つい後ろを振り返ってしまうのです。
あの時の「あれっ…?」を
僕の手元に引き止めておきたくて…
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合わせて読みたい過去記事はこちら





























素顔の真崎航さん

ゲイビ界をくまなく、さすらってきた
こちらの読者さんがいたら、
必ず行き着くレジェンド的存在の
男優さんと言えば、もうカレでしょう。
真崎航さん
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1983年7月20日、岩手県盛岡市に生まれる。
飛行機が大好きで、名前の「航」はそれに由来し
実際、航空会社に勤めていたこともあった。
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またオーストリアに住んでいたり
中国やタイでも知れ渡る活動をしていたり、
国際色豊かな感性のある人でした。
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そんな彼の天職となったのがゲイビ男優で
彼自身もそれを恥じることなく
堂々と胸を張っていました。
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影像の中ではオラオラ系で、Sキャラっぽかったけど
本当の彼は茶目っ気たっぷりで、のんびり屋さん
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話している口調がとても優しくて物腰柔らか、
初対面のファンにもすぐに会釈で応じる
誰に対しても分け隔てない笑顔をくれた人でした。
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今から7年前、2013年に29歳の若さで
この世を去りました。
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ここまでは僕もそれとなく知ってた。
けれど素顔の真崎航さんに会えたのは
彼が亡くなってから何年も過ぎたある日でした。
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偶然見つけた1本の動画
決してエロビじゃないので
ここに貼り付けます。
およそ10分程度の動画なので
全て見ていただけるとよいのですが
時間のない方のためにダイジェストすると
3分10秒あたりからの航さんの話に
耳を傾けてほしいのです。
全然、普通の人だった、っていうか、むしろ
純粋でさわやかな人でした。
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ゲイにありがちなオネエキャラでもツンデレでもなく
ごく日常の空気を呼吸し、誠実に生きていた
一人の男として、かっこよく、そしてかわいい人でした。
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今さらながら彼を失ったことは
この世界の大きな損失であり、深い悲しみでした。
どうか航さんの遺志を皆で受け継ぎ
いつか僕らが自由に羽ばたける大空が広がったら
彼に見せてあげたいなと思います。
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以前この記事を公開してから数年後
この動画で一緒に映っていた伴侶の天天さんも
航さんの後を追うように旅立ってしまいました。
今はお二人で天国でなかよく暮らしていることを
心よりお祈りしたいと思います。
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彼に匹敵するメンズヌードモデルと言えば…

同じくAV男優としての道をまっとうした人と言えば










僕らの行く先には何もないけど(第3期最終話)

僕には、自ら命を絶った人の元へは
おそらく近づけないだろう。
けれども何かを終わらせたい、
終わらせなければならないという
覚悟は、僕にもある。
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それは30とか300とか
ちょうど切れのいい数字だと
踏ん切りがつく。
だから僕もここで、この世界から
しばし、いとまごいをしようと思う。
言うなれば、宿命的に…
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それは今が苦しいから、辛いから
そこから逃げ出したいわけじゃない。
むしろ正反対だ。
今が幸せだから、最高だからこそ
咲き誇る花のままに、
美しい男のままに、終焉を迎えたい。
そんな至福の思いが、終末を選択した僕らの
脳裡のどこか片隅に、微塵もなかったなどと
誰が言いきれるだろうか。
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今まで本当に楽しかったし
これからもずっとこの喜びは
できることなら続けていきたいけど
8年間ひたすら自分を見せてきたこの舞台を
いさぎよく手を振って降りてもいいだろうか。
なんか、あくせくと生きあぐねているよりも
きっぱりと散ってみせたい瞬間も
僕には周期的に訪れる。
ただ、根が図太い僕の場合は
またいつかよみがえってくる気もするけど…
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それでは愛する皆様とのひとまずの別れに
この曲を添えたいと思います。
もう本人の美声で聴けないのが残念だけど
大好きなマッキーの曲を口ずさみながら
何もない世界に
これから旅立っていこうと思います。



聴こえるよ 聴こえるよ
誰かの声が
待っていないと思ってた
誰かが待っていた

自分の言葉だけを信じ続けてた
この静かな旅は もうすぐ終わる

愛を一つ胸に かかげて行こう
僕らの行く先には何もないけど
愛を一つ胸に かかげて行こう
後に続くみんなの 光になるから…
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それぞれの節目に書いた記事はこちら

「200話の終わり」

「150話の終わり」

「100話の終わり」

長らくご愛読いただき、ありがとうございました。
また、いつか、どこかで…
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美しき者よ汝の名は…あなたでした…






















性と死をかけて

産卵のために、川を遡るサケは

二度と元来た川を下ることはない。

なぜなら、彼らはその旅支度として自ら絶食し、

川を遡るに必要なだけ、自らの筋肉と内臓を
タンパク質に分解する。

こうして遡上し生殖を終えたサケは、
その力のすべてを使い果たし

一匹残らず、大自然の一部となり還っていく…
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それは運命というには、あまりに残酷だ。

自分らの命を犠牲にして

次の世代の命を遺していくなんて

親になっても子どもに命しかくれてやれない…
その生と死の交代劇が「性」というのならば

「性」はあまりに厳かで無常だ。

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一方で人間の性は、快楽的なようにさえうつるが、

しかしヒトが生物である以上

この性もまた、死と隣り合わせである。
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かつてドイツが敗戦の危機の中で、
窮地に追い込まれた夥しい数の男たちが
毛布に身を隠しつつセックスをしていた姿が
目撃されたという逸話は
なんとも象徴的なエピソードだ。

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1999年、この年芥川賞を史上最年少で受賞した
平野啓一郎さん
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金髪にピアスをつけたイマドキの芥川賞作家として、
当時物議を醸した人だったが
受賞作「日蝕」にこんな一場面がある。

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ある時主人公は、自分の密告で
魔女狩りに捕らえられた両性具有者が

火刑に処せられる瞬間を目撃する。
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「彼と彼女」は大衆の面前で

全裸にさせられ辱めを受けるが

足下に火がつけられると、
にわかに男性自身が猛々しくいきり立ち、

やがて死の恐怖と性の快楽の交錯の中で、
突如世界は日蝕に覆われ

昇りつめた精液は、美しき虹の如くに
空を切って、おびただしく放出し

彼自身の女性部めざして、引き込まれていく。

その後、彼の肉体は文字通り、燃え尽きる…
いずれも性は、死と紙一重なのかも知れない…

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そう言えば、よくある公開アンケートで

「世界最後の日にあなたは何をしますか?」
っていうのがあった。

もし僕がいつか最期の時を迎えたとしたら、

やっぱ最高の気分で
射精して、天国に逝きたいかな

自分の蒔いた種を、ささやかな量で、
この地上にのこして…
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永遠の少年

「僕、先生のこと、なんか好きでした。」
突然の告白に、オレは理性をとどめるのに
必死だった…

彼はオレのクライエント
出会ってからもうじき1年になるが
その間ほんとうにお互いが
いろいろな話をしてきた。

初めて彼がオレの元へ訪れた時
もうすぐ二十歳になるという年頃ときき
無精ひげでも伸び放題かもと思い
無駄に若づくりしている僕では
いささか頼りなく見られるかなと危惧したが
対面して、まったく杞憂だと悟った。

はにかんだ笑顔と汚れないまなざしをもった
彼は純真な少年そのものだった。
たとえて言うなら、将来
保育士か高齢者の介護士になりそうな
献身的な優しさを身にまとったような
少年だった。
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もちろん彼の方がクライエントなので
オレはひととおり彼の悩みを
「うんうん」と相槌を打ちながら聞くんだけど、
つい自分にもそんな悩みがあったなーと
思い出して自叙伝を語っちゃうんで
いったいどっちがカウンセリング受けてるのか
わからなくなってくる。
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「先生、そういう時は、こう考えればいいんですよ。」
「あっそうか、なるほど。
 そうすりゃ悩まなくていいよな。
 解決してくれて、ありがとう。」
「ははは…」
とりあえず回を重ねるごとに
少年の眼は輝きを増し
生き生きとした表情になって
帰っていくもんだから
オレも少しはお役に立っているのかね…
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そんな彼ともいよいよ最後の面談となった。
いつになく長い時間、少年と目が合い
その瞳の中のオレの顔が、
何かを待ち受けているように揺らめいた。
少年は、つと席を立った。
「先生、今までずっと、僕と一緒にいてくださり
 本当にありがとうございました。
 僕、先生のこと、なんか好きでした。」
そう言って少年は、頭を下げたきり
顔を上げられずにいた。
オレも思わず立ち上がり
ごく自然に彼の前に両手を差し出した。
少年は自分からオレの胸に飛び込んできた。
オレは「…おいおい…」と言いつつ
いつしか彼の背中に手を回し、抱きしめていた…
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3呼吸半の間、オレたちはじっと動かなかった。
でも4回目の呼吸音で、オレははっと我に返る。
そして彼の背中をポンポンとリズミカルにたたくことで
「おしまい」の合図を送った。

「それじゃあ元気で…また、いつでもおいでよ。
 あっ、ここに誘っちゃダメだよな。」
「…はは。ありがとうございました。」
笑顔を取り戻して去っていく少年を見送った後
崩れ落ちそうな自分を抱きしめてもらいたい
オレが一人残った。


あれから何度目かのお盆がめぐってきた。
迎え火の中に、あの時の記憶が
鮮やかによみがえってきて
ありし日の少年に、一輪の花をささげ
3呼吸半、手を合わせた…
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お別れのビートルズ

子どもの頃あこがれていた
年の離れた、いとこのお兄ちゃんがいた
勉強ができてスポーツが万能で
そのくせ、ひょうきんで
いつも独りぼっちの僕を笑わせてくれてた79002ce4-s
優秀だったお兄ちゃんは地元の高校へは行かずに
学区外の県下トップクラスの進学校へと通った
それでお兄ちゃんの顔をめったに見られなくなった

だが、その時から少しずつ少しずつ
お兄ちゃんは壊れていった…
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周囲の期待と自身の頑張りの限界の中で
やがてお兄ちゃんは、順風満帆だった人生から
人知れず静かに身を引いていった
どんなに会いたくても二度と会えることはなかったし
正直会ってはいけないような気がした

そして歳月だけが滔々と流れていき
気がついたら何十年もたっていたある秋の日に
家族からも隔絶されていたお兄ちゃんの訃報が届いた
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遺影は若々しい無邪気なお兄ちゃんのままだった
棺の中でお兄ちゃんは無垢な姿に返っていた
そして胸元に一枚のチケットが…
あっビートルズの来日コンサートのだ

けれどそのコンサートは実現されなかった
ポールの大麻所持が発覚し
待望の日本公演はすべて中止になったのだ

でもお兄ちゃんは未使用のチケットの払い戻しをしなかった
そしていつかビートルズのコンサートに行くんだと
いつもそのチケットを見せては自慢していたそうだ
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きっと今度こそビートルズのコンサートに行ったに違いない
ジョンとジョージの待つ天上のコンサートに…

葬儀場に流れていたアヴェ・マリアのメロディーよりも
この曲で見送る方がいいかな…って
真夜中にそっと鳴らしてみた…


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なお今回が「ヨミト」の書いた最後の記事でした…
皆様、よいお年を…







天と地の果てまでも

ヒロユキが死んだ
22歳の若さで
自らの鼓動を
自らの手で止めた

ウソだろ
信じられないから
涙も出なかった
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通夜でヒロユキと対面した時
その寝顔は美しかった
長いまつ毛が濡れていて
唇がきりっと締まっていた
キスしたくなるほど
いとおしく思った
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通夜の儀が始まり
訳のわからない
お経を聴きながら
僕は不謹慎な妄想に
おちていった

祭壇に近づき
棺のふたを開けると
そこには
白雪姫に出てくる王子様のような
ヒロユキが眠っていた
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ここでヒロユキに人工呼吸でもしたら
息を吹き返して
めでたしめでたしとなるかも
そう思い込んで
今までで一番濃厚なキスをした
温かい僕の息を吹き込む
何度も、何度も…
でも、ヒロユキは目覚めない
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だから今度はもっと
じかにヒロユキと触れ合いたくて
彼の着ていた経帷子をほどいた
スポーツマンのヒロユキの
日焼けした胸が見たかったのに
やけに色白にやせ細っていた
きっと寒くて凍えているんだ
だから僕の体温で彼を温めてやるんだ
僕も喪服を脱ぎ捨てた

今僕らはひとつの棺のベッドで
生まれた時の姿で抱き合っている
それも生と死の境界を越えて
僕の熱情が勝れば
二人とも生き返れるし
死という虚無が勝れば
二人ともあの世行きだ
いずれにせよ僕にとっては
この上なく本望だ
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けれども神様は不公平だ
やがて二人の体を
生と死に分けて
引き離した
僕にはもうヒロユキの肉体を永久に
引き戻すことができないんだと
悟るしか、なかった
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ふと我に返ると
火葬場の巨大な窯の前に
僕だけが
取り残されていた
ヒロユキの潤んだまつ毛に、唇
日焼けした弾力のある胸
サッカーをやるために施された
脚と尻の筋肉は
完全に白い煙と骨と灰に霧散した
ヒロユキがヒロユキとして
もうこの世には残っていなかった

でも僕は彼の終わりを信じない
ヒロユキは元の肉体を失っても
必ずどこかに存在している
そしてもう一度僕の元へ
一目でヒロユキだとわかる姿で
帰ってきてくれるんだ
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だから僕はこれからもずっと
ヒロユキを探し続ける
そしてヒロユキだと思える人に会ったら
その唇にキスをし
その体を抱きしめて
ヒロユキが宿っていることを
確かめてやるんだ
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いつしか何十年かが過ぎ
その間に僕はもう
何十人もの男と出会うだろうけど
もしかしてヒロユキ?という問いかけに
誰かこたえてくれるだろうか?
それでも僕は探し続ける
ヒロユキと呼べる男を
天と地の果てまでも…
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手放す思い

全盲の方が駅のホームから誤って落下し

死亡するという痛ましい事故が何件があった時

そこに哀しすぎる「お別れ」があったことを

後日談でお聞きしました。


いずれの事故でも、亡くなった方々は

落下する直前に盲導犬のハーネスを手放したそうです。

一生涯愛したものを道連れとはしないために…

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僕にとって、愛する者と一緒にありたいという
一途な気持ちが、その者の命を生かすために

手放すという選択肢があるのだろうか…

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ただ、その時きっと僕は、
あなたの顔を最後まで思い描きながら

微笑んで去っていくので、

どうか信じていてください。

あなたとは、最後の瞬間まで、
かけがえのない絆で結ばれていたことを…

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散るといふ 飛翔のかたち 花びらは

  ふと微笑んで 枝を離るる(俵 万智)
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イキたい!(初の自作官能小説です)

白いもやの中に、裸のオレがいた。
その向こうには、やはり裸のサトシがいた。
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「ねえ、僕たちはどうしてこんなところに
  いるのだろう、服も着ないで…」
「さあ、わからないけど、確かここに来る前…」
「そう、僕は車に乗っていたはずなんだ。
  だけど急に眠くなっちゃって…
  で、気がついた時には目の前に
  ガードレールがあって、それを突き破って…
  その後どうなったかわからないけど、
  ふと目を開けたら、ここにいたんだ。」
「オレも似たようなものかな…」
「じゃ、オサムも事故ったの?」
「まあね、車の中だったことには間違いない」
オレの答えは、半分ホントだけど半分ウソ。
オレは事故ってない。ただ自分から死にたくて、
確実に死ねる車の中を選んだだけ…。
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「だんだんわかってきたよ、オサム。
  僕たちは今、死にかけてるんだ。
  けど完全じゃない。
  ちょうど生死の境をさまよって、
  こんなところにいるんだ。
  たまたま僕たちは別々に事故にあって、
  ここで一緒になったんだよ。」
「お前、高校の時のまんまで、すげえ妄想力だな。
  で、この先どーなる?」
「どうもこうもないよ。今は何が何でも
 生き返る方法はないか、探そうよ。」
「ああ…」と言いつつ、オレまったくやる気なし。
 だってオレの方は死にたいんだもの…
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サトシは白いもやの中を縦横無尽に動き回った。
けれどもそれがまったくムダであることは、
オレも、サトシにもちゃんと分かっていた。
そのうちサトシは疲れ切った様子で、へたりこみ
わんわんと泣き出してしまった。
オレはあんまりサトシが気の毒だったから、
あいつの肩に手を置いた。
「サトシ、お前ほんとに生きたかったんだよな?」
「うん…僕…まだやり残したことがあって…
 このままじゃ…死ねない…」
「そうか…じゃ今オレとできることってないか?
 このまま死ぬよりはいいだろ?」
サトシは驚いて、オレの瞳の奥を見据えた…
そしておずおずと申し出たのは
「オサム、僕を抱いてよ」の一言。
絶句した。たしかサトシは彼女もいたはずで
ゲイじゃない、むしろゲイはオレの方だ。
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「こんな感じでいいか?」「うん。」
まるで夢の中のようだった。オレの大好きだった
サトシが今、オレの腕の中にいる。
オレは自分の快楽とサトシへの献身的な思いとで
頭ん中ぐちゃぐちゃになっていた。
そう、世の中すべてがいやになって、
死にたいと思っていたくせに
サトシへの思いだけは、今日まで生きていたんだ。
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「あっ、イキそう…」そう先に漏らしたのは、
サトシじゃなくて、オレの方だった。
「イッてもいいよ。だけど僕にわかるように、
 ちゃんと声に出してよ『イキたい』って…」
オレはサトシに言われるまでもなく、
もうすでに頂点まで昇りつめようとしていた。
「ああ…サトシ、オレ、イクよ。イキたいんだ。
 イキたい、イキたい、イキたい!」…その瞬間、
オレは命の源が飛び散るのを、全身で感じた。
そして意識が遠のく中で、サトシが
「オサム、ありがとう。君はイキなよ。
 …僕は僕でイクからね…」
と言ったのを確かに受けとめていた、
サトシの笑顔とともに…
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そこで目が覚めた。
オレは病室のベッドに寝ていた、
酸素マスクが外された。
おふくろが「オサムが還って来た」と叫んで、
オレの上に泣き崩れた。
意識が戻ったオレに、医者が尋ねた、
何かほしいものはないか、と。
パンツがちょびっと冷たくなったのを感じたが
それには構わずに目を閉じて言った。
「もう十分です。だけど、また元気になったら…
 親友のお墓参りにイキたい…」



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舟人の紹介

ラシン

初めまして。ラシンです。
ほぼ「裸身」ですが
ここを「羅針盤」として
進んでいく方向を
模索したいと思います

漂着した方の人数
  • 累計:

上陸記念にスタンプを
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