映画「八犬伝」を観てきました。
元々歴史オタクの僕にとって
滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」は
子どものころからのバイブルです。
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「八犬伝」って何ソレ?と言いたい若衆に
分かりやすく言えば
江戸時代に書かれた「ドラゴンボール」で
ドラゴンの代わりが「犬」であり
ドラゴンボールの代わりに
「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の
八つの珠を持つ剣士(犬士)が登場し
悪に立ち向かうという壮大なファンタジーと
言えば、解ってもらえるでしょうか?
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今回もまたイケメン剣士たちが
縦横無尽に活躍しまくる映画かなと
思っていたのですが
実は今回の「八犬伝」には一味違った
もう一つのストーリーがあるのです。
そう、作者滝沢馬琴の歩んだ人生そのものが
八犬伝のストーリーと交互に入れ替わって
同時進行で語られていくのです。
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さて、八犬伝の絢爛豪華たる絵巻物のような
大作と比べ、馬琴の愚直な生活ぶりは
まったく美しくもなく、
むしろ憐れさを感ずるほどの
暗き憂愁の漂う生涯でした。
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馬琴の最大の理解者でもあった最愛の息子、
宗伯は病弱で若くして死去し
妻に先立たれ、それでも28年の歳月をかけた
ライフワークの「八犬伝」を未完成のまま
馬琴はとうとう失明してしまうのです。
けれども息子の妻のお路が、馬琴を支え
彼女は読み書きできなかったにもかかわらず
馬琴の口述筆記を担い
ついに馬琴の遺志を受け継いだ見事な筆致で
「八犬伝」を完結するのです。
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そんな馬琴の現実の世界は
質素堅実ではあったけれど、
正直者が馬鹿を見るような
理不尽さ、苦悩、不幸に満ちた
世知辛い世の中でした。
それだからこそ、彼は作品の中に
勧善懲悪なる理想的な世界をつくり
虚構の園にしか咲くことのない
美しき夢を描いてみせたのです。
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なかでも「八犬伝」といったらやはり
8人の個性豊かな八犬士の美丈夫ぶりが
抜きん出て輝きを放っています。

真っ先に登場するは剣術の達人、
「孝」の珠を持つ犬塚信乃のカッコよさ
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彼の乳兄弟であり、どこまでも信乃を
支え守ろうとする
「義」の珠を持つ犬川荘助の律義さ
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信乃とはライバルとして登場し
後に無二の親友となる
「信」の珠を持つ犬飼現八の勇猛さ
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火炎の術を使う山伏姿の
「忠」の珠を持つ犬山道節の堂々たる威厳
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犬士中、女性をも超越した絶世の美男となる
「智」の珠を持つ犬坂毛野の麗しさ
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慕っていた父が怨霊に取りつかれ
涙ながらに討ち取った哀しきたたずまいの
「礼」の珠を持つ犬村大角の謙虚さ
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ふんどし姿で素手で闘う怪力の裸王
「悌」の珠を持つ犬田小文吾の豪快さ
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そして8犬士中最年少で最後に登場してくる
「仁」の珠を持つ犬江親兵衛の初々しさ
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この8犬士の魅力はそのまま、
それを演じていく男優の甲斐性にも
つながっていくのです。
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馬琴が八犬伝で見せた虚の美しさの陰には
粛々とした現実世界の厳しさがありました。
これはこの「ソラリスの島」にも
当てはまることのように思うのです。
これまで「ソラリスの島」という虚の世界で
美しき男たちを次々と登場させ
現実では到底味わえない
仮想の美を追求してきました。
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けれども僕自身の現実は
理不尽な日常に七転八倒している
一介の〇〇にすぎないのです。
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果たしてこの先、僕はどちらに身を置いて
生きていったらいいのでしょうか?
ただこの「八犬伝」のクライマックスで
大作を書き上げた馬琴が、夢うつつの中で
八犬士に見守られながら
その一生を閉じた最期が
あまりに悲しく美しかったことが
エンドロールを眼前にして心に残りました。
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僕もいつかそのような大団円をもって
この現世から旅立ちたいように思いました。
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見守るは宝刀秘めたる八剣士?
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それとも武勇伝を包み隠さず、十勇士?

はいはい、この手の歴史物と言えばこちら


歴史物じゃないけど、5人の超能力者が
力を結集し悪と闘い散っていく哀しき未来