風雨が世界を重くたちこめてくる気配に
真夜中に目が覚めてしまった。
体じゅうが寝汗でぐっしょり濡れていた。
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直前まで、とりとめのない夢を見ていた。
筋書きは思い出せないけど、
登場人物が小学校から大学までの友人たちで
脈絡のない男たちがタイタニックのように
浮かんでは消えていくのだが、
皆、当時のままに若くて、かっこよかった。
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目が覚めてふと、もしかしたら
自分も若返ってるんじゃないかと
今の自分を姿見に映し出してみた。
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確かにまだ顔つきも、若い部類だし
体つきにいたっては、30代前半と偽っても
ぎりぎりセーフかも知れない。
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でも…手はごまかせなかった。
そこには明らかに幾星霜も辛苦を経た
人生の年輪が刻まれていた。

そうしてもう一度、顔と身体を振り返ると
もう取り繕われた若さしか残っていなかった。
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いくらアンチエイジングを謳っても、
肉体の凋落は、時の流れには逆らえない。
本物の若い人と並んで立てば、違いは歴然だ。
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もう若くない…美しくもない…
まだこれから何十年も生きるとして
この衰えゆく容姿を携えてこれから先
どんな出会いや喜怒哀楽があるのだろうか。
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でも夢物語の中でなら、僕も昔の姿に戻って
あなたと会えるのかも知れない…
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別にごまかしたいわけじゃない。
かつては若く、美しかった僕と、
どこかであなたにもう一度会ってほしいから
        
花さそふ 嵐の庭の 雪ならで
ふりゆくものは わが身なりけり(藤原公経)
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