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「僕たちは初対面じゃなかったかも知れない。
 Z公園に行ったことはない?」
そう最初の問いを発してから、約1時間待ち…
いつも僕からメールを送った時は速攻で返して来る
Y君でしたが、この日は全く返信がなかったのです。
その無反応さから逆に「ああ、やっぱりそうか。」
と悟ってしまいました。
そこで次に
「わかったんだね。でも僕はこれまでどおり、
 君と友だちでいたいんだけど…」
と送信して待つこと1時間…
返信のないまま、時計の針だけが動いていきます…
窓の外は、いつしかぽつりぽつりと雨に…
何かいけないこと言った?そう思いつつも
僕はひたすら彼をつなぎとめるべく
最終宣告を試みました…
「僕はいつの時のどんな君も好きでした…」
それは狙いを外した流れ弾のように、
雨中へと消えていったかのようでした。
外は雨ばかりか風までもが勢いを増し、
何かを激しく打ちつけています…
そしてこの、いつ明けるとも無い
沈黙の底から噴き上げてくるのは、
Yのすさまじい憎悪だと気がついた頃には、
もうすべてが致命的に終わっていました。
その憎悪とは、いったい何なのか、
今でこそ見当がつくのですが、
当時の僕にはまったくわからなかったのです。
ただその憎悪こそが、僕らから、
かけがえのない大切なものを消し去りました。
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その後、Yと会うことは二度とありませんでした。
彼はその年に退職し、県外の別の業種へ
再就職したという話を風のうわさで聞きました。
僕には今も心のどこかに出会ったばかりの彼が
メールで送ってくれた言葉が突き刺さっていて、
思い出すたび、たまらなく胸を殴りつけ、
自分の息の根を止めたくなります。

僕が踏みにじってしまった、Yからの最初の挨拶…
「…本当に尊敬できる人を見つけました。
僕はどこまでもあなたと同じ道を進んで行きたい。
そしていつか、あなたのような人になりたいと思います…」
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この話のエンディング曲は、昨年他界された森田童子さんの
「ぼくたちの失敗」しか思いつきません…

「僕が失くしたもの」《完》

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